参議院選挙の投票日を前に
20日の投票日を前に、参議院選挙は最終版を迎えた。この間私はそうした政治に関わる話から意識的に身を離し、実に細々としたプライベートな話題ばかりをブログに綴ってきた。それでいいと開き直っていたわけではないが、私にできることなど限られていると思っていたが故である。しかしながら、事態は緊迫の度を高めているようである。スマホをいじっていたら、日本ペンクラブの緊急声明が目に飛び込んできた。しかも拡散希望とある。緊急声明には至極もっともなことが書かれていた。
そこで、ライン繋がりの知り合いに緊急声明の全文を送ってみることにした。SNSを活用した私なりの細やかな選挙活動である。ついでにブログにも投稿してみることにした。以下はその全文である。緊急声明のタイトルには、「選挙活動に名を借りたデマに満ちた外国人への攻撃は私たちの社会を壊します」とある。この声明がブログの読者の目にとまれば幸いである。
私たちは、このまま社会が壊れていくのを見過ごすことはできません。参議院選挙を通じ、与野党を問わず、一部の政党が外国人の排斥(はいせき)を競い合う状況が生まれています。しかも、刺々(とげとげ)しい言葉で、外国人を犯罪者扱いし、社会の邪魔者のように扱うことが、さも日本の社会をよくするかのように振る舞っています。 「違法外国人ゼロ」「日本人ファースト」「管理型外国人政策」など、表現の仕方は違えど、外国人を問題視するような政策が掲げられ、「外国人犯罪が増えている」「外国人が生活保護や国民健康保険を乱用している」「外国人留学生が優遇されている」といった、事実とは異なる、根拠のないデマが叫ばれています。
これらは言葉の暴力であり、差別を煽(あお)る行為です。こうしたデマと差別扇動が、実際に関東大震災時の朝鮮人虐殺等に繋(つな)がった歴史を私たちは決して忘れることができません。 私たちはこれまで、過去の反省に立って多文化共生社会をめざし、すでに多くの自治体ではそのための条例も施行されています。そうして少しずつでも、成熟し前進してきた民主主義社会が、一部政治家によるいっときの歓心を買うための「デマ」や「差別的発言」によって、後退し崩壊していくことを、私たちは決して許しません。民主主義社会を守るために、有権者がいま一度立ち止まり、自身の一票を大切に行使することを願います。
2025年7月15日
一般社団法人日本ペンクラブ
会長 桐野夏生
理事会一同